Jours de Charlotte et Charles

しゃるろって(Charlotte)と、ちいさなしゃるる(Charles)の日々

やっと会えたね!

42週。
自然分娩予定が、

あまりの音沙汰のなさに計画分娩に変わり、

突如翌日から入院となりました。

コロナ騒動により、

面会・立会いなど産婦以外が施設に立ち入ること全てがNGとなった産院で

隣りにいるのも陣痛に耐える産婦さんという環境。

もちろん話しかけることもできず、

話し相手もおらず、

時々来る助産師さんを捕まえて長話をしてしまうなどし。

襲い来る痛みを粛々と受け止めながら

おしゃべりに逃げることもできず

黙々とすごした4日間の記録。

 

【1日目】
痛いと噂に聞いていた恐怖のダイラパンを入れて

ふやける枝の、グイグイくる痛みに耐えながら

とはいえ食欲もしっかりあって

痛い以外の不調はなくて

 

痛いといえば

数日前から寝違えていて

首の痛みのほうが強く

「いたいよー」と向きを変えようとすると

「いたいんだった!」と思い出すような

不遇の時間。

 

夫とのLINEを振り返ると

 

「だめだ」「いたい」「もうむり」と

バルーンの段階で弱音を吐いているわたしに
「有無がヤスシ」と誤字を交えて返信する夫。

それに対して「わしゃキヨシ側やと思うわ」という

論点もなにもない脊髄反射で返信する私。

 

痛かったんでしょうな。

とても、脳を使ったコメントとは思えない。

夫も夫とて動転していたのか今見ると誤字だらけである。


朝9時、まだ子宮口は1cm。

触診が痛くて涙が出るなどと言っているわたし。

実はまだこんなのほんの序の口なのにね…ふっ。

 

「お誕生日はたぶん明日以降でしょう」

 

まぁそうでしょうね!今ならわかる、あと3日かかるよ!

夫もそれを察したのか段々と返信がテキトーになってきて

私「こんなん有職故実やん」

夫「反対は無職故虚になるんかな」

などという非生産的なやり取りが続く。

 

「触られるって感覚初めてもつんだろうな〜どういう感じなんだろうな」

 

夫の哲学的な名言はスルーされて

退院したら食べたいもの、ラーメン、餃子、唐揚げ、ピザ、ドリア、フライドポテト、ペペロンチーノ、ゴルゴンゾーラのリソ、などを列挙していくわたし。

 

と、そこでお昼ご飯。

 

高血圧を恐れて薄味生活をしていたわたし、第一声は「病院食、味が濃い」。

わたし、生意気やな…。

 

夫「塩抜き大成功だね」

私「この味覚で飲む白ビール、さぞ旨かろうな…」

 

病院食で酒が飲みたくなるってどんな食生活やったんや。

ほとんどもう永平寺の修行僧やないか。

 

私「アンネ・フランクアマゾンプライムなしで、2年間屋根裏で過ごしたんだよな…すごい…。」

 

段々と意識がおかしくなっていく様子が見て取れます。

 

私「なんで面会もできないんじゃ、中国人ハシビロコウ食うとかおかしいだろ」

夫「センザンコウでは…」

 

そうこうしているうちに夕食が運ばれ、シャワーどうぞと言われ、

痛みでまんじりともせず「あつい、いたい、ねむい」を繰り返すだけの機械となり

眠れない夜を越えて2日目。

 

ちなみにこのときの夫の反応は

「大丈夫、がんばれ、君は胆石発作の経験者だ!」

である。頑張ろうと思えた。

 

医師からの助言により、和痛のチェック採血。

 

 

【2日目】

主治医が外来休診日で、午前中代診。

ダイラパンを抜く。子宮口はまだちょびっとしか開いていない。

午後になって陣痛促進剤を点滴にて投与。

…いまさら思ったんだけど「投与」って、医師側の表現だよね。

受ける側は?受諾?何になるんだろう。点滴を…服用、ではないしな…

 

しかし直前になってまず子宮を柔らかくするための飲み薬からスタート。

 

昨日の採血に、点滴の投与口(?)、今日もまた採血。腕が穴だらけ。

血管が細いとは20代の頃から言われてたけどここにきてまたそれが足を引っ張る。

 

便通ナシ。お小水もほぼ出てない。発汗がすごいから?にしても少なくないか…?

 

そうこうするうちに点滴がギュンギュン効いてきて再び朦朧期に入る。

痛みの波がギューンと来ているらしい、わたし。

息継ぎができないほど痛いと夫にLINEするわたし。

 

夫「恐怖や痛みで乱れないようにってツェペリさんが」

 

優しい指南をする夫。

 

夫「理由がわかっててゴールがある痛みだ、疾患ではないぞ」

 

理詰めの励ましだが私はそのほうが良いと踏んでのことだろう。

なかなかやるな、と思った。パートナー歴長いもんね。

 

10ヶ月ありがとうね、つわりが酷いときも感情的になったときも

わたしを否定せずにいつも゛ぉ゛ぉ゛ぅ゛ぅ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛いてぇなぁ!

感謝のコメントすら中断させる痛みである。

そしてまだ痛みが先行して産まれる感全く無いので

同室のひとが産気づく姿に怯えるわたし。

 

明日までに破水しなければ意図的にプッチンさせましょうとのこと。

「卵膜がしっかりしすぎ」

栄養過多なのかしら。赤子も大きめだし。悪いことじゃない…長引く陣痛を除けば。

このままお腹の張りだけ続くと、母子ともに疲れてしまうので

明日までなにも起こらなければ意図的に…という方針に転換する。


夜、分娩室脇の部屋からふつうの大部屋に移される。

 

まだまだ、ってことなのか…落胆する、わたし。夜は長い。

 

 

【3日目】

続・誘発の点滴。

つらい、いたい、なのに子宮口はまったく開かない。

便通がゼロなので坐薬をもらう。

お小水ゼロ。大丈夫なのかこれで。

噂に聞く「お産の前にはなぜかウンコむっちゃ出る」を経験したいがまだ先っぽい。

続々とまわりのベッドの人が産気づいて入れ替わっていくことに、

気ばかり焦るが体がついて行かない。

 

微弱陣痛を調べた。
疲労、精神、便秘、肥満…なんや、わしゃ全部入りコンプリートやないか。

思わずつぶやくレベル。いや、つぶやいてたかも。

助産師さんには「微弱っていうか、子宮がかたいんですよね」と言われ

どっちにしてもまだまだですよね、という諦観の念に覆われる。

 

陣痛で収縮してぎゅーっとなると、

お子はそれが嫌らしく全力で抵抗してくるので、

陣痛プラスあばら蹴り上げがもれなくセット。

主治医が「おなか柔らかいなー。甘えてお母さんにしがみついてるんじゃないのかー?」

ってお子に話しかけたところ、ポコンと応じてきた。

これは…なかなかの甘え者。

 

直腸(と思われる場所)が熱くて痛い。

それにより座ることができなくなり、ただひたすら立っている。

立ったまま膝がガクッと抜け落ちる。眠いのだ。

だが、横になれない。

 

再び分娩室近くの部屋へ移動し、プッチン。

 

昼以降なにも口にできず。

ここまであっという間に完食していたというのに、突如食べられない。

痛いくらいで食べられなくなるとは。自分を過信していたかしら。

 

この日は助産師さんとちょっと店舗があわなくて、

わたしも痛みでイライラしていて。

助産師さん、陣痛中の妊婦さんに八つ当たりされること多いんだろうか。

ごめんなさい。

 

明け方にベテラン助産師さんが来てくれて

テニスボールで直腸付近の痛みを和らげる方法を教えてくれた。

 

神…

 

痛みが和らいだせいか、追加の破水(?)がちょくちょく起こる。

出産はもうすぐそこ!…………かな?

 

 

【4日目】

朝食、食べられない。無理です。

昨日からまったく食べられなかったので、

夫がヴィダーを差し入れてくれました。

受付にあずけてくれて、それを受け取るだけなんだけど

すごく嬉しかった。でも、それも控えるように言われちゃった。

くそう、コロナめ。

 

痛みと眠さと、お小水がでない膨満感とでフラフラ。

今日こそお産になりそうとのことで

和痛分娩にしますか、と助産師さんから確認。

「4日頑張ってるし、あと、血圧上がってるし、和痛も悪くないですよ」

後押しされて踏み切る。

 

10時 誘発と和痛の麻酔。顔と手足が急激に火照る。陣痛のたびに助産師さんがテニスボールで抑えてくれて、和らぐ。

 

12時 そろそろ出産かなという気配。まわりもその空気に。私もやる気になり、朝受け取ったヴィダーを飲む。尿路をカテーテルでとりますねーと言われ、はーいとふつうに返事をしたけれど、刺した途端、出る…出る、出る。1リットル近く赤黒い水が!出てない気がする、汗で出ちゃってるのかもというここ数日分のお小水は、溜まっておりました。体内に。なんか内圧が一気に下がった感じに。スゥと。そして、やや悪寒。ん?

 

13時 発熱。子宮口も4日かけてほぼ全開まできたというのに、発熱。しかも高温。39度ってなにごと…助産師さんバタバタ。わたしの心も、バッタバタ。

 

14時 2時間前まで「分娩しちゃおう」だった主治医も「帝王切開だね」に。えっ?えっ??よくわからないまま、ベッドからスマホを持ってきてもらい、夫にTEL。

 

15時 まさかの私が見做しCORONITAによりスタッフ厳戒態勢での帝王切開に。

 

15時56分 4000gの元気な男の子誕生

 

18時 急転直下激動の1日、このときには6度8分まで下がってました。

 

【5日目】

8時 初対面、初抱っこ、初授乳

 

 

 

 

これが、自然分娩から計画分娩、さらに和痛からの帝王切開というフルコース出産の詳細です。

本当にほんとうに「やっと会えたね」です。

 

痛いとか辛いとかすごく多用してしまった私が言うのもなんですが、

今は毎日が愛おしく、毎日が幸せです。

こんな宝物のような日々が待っているなら、

この痛みが4日だろうが10日だろうが私は耐えられます。

マイナスイメージが先行しがちな出産子育てだけれど、

こんなに尊い日々があるってことも、同じくらい、いや、もっともっと広まって欲しい。

子ども、産みましょうよ。子育て、しましょうよ。

そう言えるような世の中に、もっともっとなるといいなぁ。